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壁紙がカビで真っ黒!?結露・湿気のない快適な家の作り方

リノベーションコラム「壁紙がカビで真っ黒!?結露・湿気のない快適な家の作り方」

皆さんこんにちは、設計アシスタントの芝です。
春も過ぎて、すっかり初夏の陽気ですね。花火や海や、夏はイベント盛り沢山で待ち遠しい季節。
今年の夏休みの計画を立て始めている方も多いんじゃないでしょうか^^
とはいえ、何事も良い事ばかりでないのが現実ですね・・・
今日はこの時期に多い、「カビ」の悩みから、特に壁紙に発生するカビについてのお話です。

いつの間にか家の壁紙に黒ずみや剥がれが…一体何が原因?

壁紙がカビで真っ黒!?結露・湿気のない快適な家の作り方 写真1

リフォームのご依頼を頂く際、特にマンションにお住まいの方で、北向きの壁にびっしり黒ずみが…というお悩みをよくお聞きします。
これらの正体は実は、壁紙に生えたカビです。
「窓もあるし、水廻りでもないのにどうしてカビが・・・?」と思われるかもしれませんが、実は窓付近にカビが生えてしまうのは結露が原因です。

カビの原因は結露!結露が起こる条件とは?

壁紙がカビで真っ黒!?結露・湿気のない快適な家の作り方 写真2

「結露」というと皆さんも聞き馴染みがあると思います。冬の寒い日に窓ガラスが曇ったり、夏に冷たい飲み物を入れたグラスが汗をかいたりする、あれです。
実は家自体にも結露は起こります。そして結露が起こった結果、壁紙が濡れ、それがカビの発生や剥がれの原因となるわけです。
「それなら、結露を起こさないような家にリフォームしたい!」そう思いますよね。
その為にはまず、どうして部屋の中で結露が起こるのかを解説していきましょう。
皆さん、小学生の頃の記憶を引き出してお読みください!

壁紙がカビで真っ黒!?結露・湿気のない快適な家の作り方 写真3

皆さんは小学生の頃、理科で「飽和水蒸気量」という単語を習ったのを覚えていますか?
空気中には酸素や二酸化炭素、窒素などの他に水蒸気が含まれており、その空気中に含んでおける水蒸気には限りがあるというものです。そして、その空気中に今どれだけの割合の水蒸気が含まれているのかを表すのが、いわゆる湿度と呼ばれる「相対湿度」
その湿度がいっぱいになる時の水蒸気量を「飽和水蒸気量」と言います。
飽和水蒸気量は空気の温度、つまり「気温」によって変化し、気温が高ければ高いほど多くの水蒸気量を持つことができ、気温が下がれば下がるほど減っていきます。
例えば、気温20℃、湿度70%の部屋の気温を急激に下げた場合、空気中の水蒸気量はそのままで空気が持てる水蒸気量が下がるので、持ち切れなかった水蒸気は水として、気体から液体へと変化し、それが結露になります。

では、家の中で気温が急激に下がる状況とは何なのでしょうか。

壁紙がカビで真っ黒!?結露・湿気のない快適な家の作り方 写真4

室内で空気が冷やされる時のイメージ

室内に結露が起きやすいのは主に冬。家の中が温かく外が寒い時です。
実は人間は生活しているだけでも結構な水蒸気を出しています。料理やお風呂はもちろん、寝ている時の汗や呼気などからも、毎晩500mlのペットボトル一本分ほどの水蒸気が出ています。
暖房の効いた温かい室内では水蒸気は飽和することなく空中を漂いますが、その空気が外気に冷やされて冷たくなった壁や窓に触れると、冷たい飲み物を入れたグラスのように気温を急激に下げ、持ち切れなくなった水蒸気が水滴となって壁紙を濡らしカビの原因となるわけです。

カビだらけの部屋を何とかしたい!結露を発生させない方法

さて、ここまで結露が起こるメカニズムについてご説明してきましたが、実際にリフォームでそれを解消するにはご予算や工期に応じていくつかのパターンがあります。
ザックリ分けると下記のとおりです。

1.断熱の改善
2.水滴、湿気の対策
3.換気の改善

順番にご紹介していきましょう。

1.断熱の改善

壁紙がカビで真っ黒!?結露・湿気のない快適な家の作り方 写真5

左:外壁面の断熱のやり替え 右:インナーサッシ

まず第一に、室内の空気が冷やされる原因として、外気に冷やされた外壁がそのまま室内へその冷気を伝えてしまう事にあります。
これは結露だけでなく、お部屋の寒さや冷房効率の低下にも繋がるため、断熱工事を行うのが最もお勧め。
壁は一度ボードを剥がして断熱材を入れ替える。また、最も冷気が入りやすい窓には、サッシやガラスの交換で断熱効果を高めることができます。
マンションの窓は共有部として交換などが出来ない事が多くあるため、その場合にはインナーサッシを取り付けるのが効果的です。

断熱工事については下記の記事で詳しくご紹介しています。
断熱リフォームで快適な我が家を。断熱材や補助金について
窓・サッシ断熱リフォームの特徴と種類について

2.水滴、湿気の対策

壁紙がカビで真っ黒!?結露・湿気のない快適な家の作り方 写真6

珪藻土(左)と壁紙(右)に霧吹きで水をかけた様子。壁紙は拭いても湿ったままですが、珪藻土は水を吸い込み数分ほどで乾きます

とはいえ、断熱改修には工期もお金もかかってきます。
「そこまでの時間と予算は無いのだけど…」という方には、壁を漆喰か珪藻土の塗り壁にするという手もあります。
クロスの場合、結露によって濡れてしまうと自然に乾燥するまでに時間がかかり、結果カビの温床になってしまう事になりますが、漆喰や珪藻土の場合は水滴がついても水分を吸い込んですぐに乾くのでカビが生えにくいのです。
それぞれの特徴として、
漆喰は抗菌効果や自浄作用でカビの発生を抑えてくれ、
珪藻土は調湿効果があるため、そもそもの空気中の水蒸気量を調節し、結露が起こりにくくしてくれます。

珪藻土についてはこちら
リノベーション・新築にとり入れてみませんか?【珪藻土】自然素材のすすめ①調湿効果でここちよい暮らし

漆喰についてはこちら
リノベーション・新築にとり入れてみませんか?【漆喰】自然素材のすすめ②衛生的で身体にやさしいエコ素材!

3.換気の改善

壁紙がカビで真っ黒!?結露・湿気のない快適な家の作り方 写真7

マンションによく取り入れられている給気口。こちらは中央のつまみを回すと開くタイプ

最後は最も簡単ですぐにでも実践できる方法。換気です。
そもそも結露は空気中の水蒸気量が飽和値まで達してしまう事で起きるため、換気をして湿気を外へ逃がしてあげる事も結露対策の大事なポイントです。
特にマンションなどのRC構造の住宅は木造に比べると気密性が高く、意識して換気をしないとすぐに湿気が溜まってしまいます。
マンションにお住いのお客様でカビにお悩みの方のお宅へ行ってみると、給気口が締まりっぱなしになっているということもしばしばです。
確かに給気口は開けていると音や冷気が気になるところではありますが、換気のためには基本的には開けておくのがベターです。

ポイント1でお勧めしたインナーサッシですが、この換気という点で言うと諸刃の剣でもあります。
戸建ての場合は別途で給気口や換気設備を設けられますし、マンションですと壁に給気口が設けられていれば安心ですが、まれに窓に給気口が設けられていることがあり、そういった窓にインナーサッシを付けてしまうと湿気の逃げ道を塞いでしまい、逆に結露の一因にもなることもあるため注意が必要です。

まとめ:カビ対策はご予算に合ったものでしっかりと

壁紙がカビで真っ黒!?結露・湿気のない快適な家の作り方 写真8

今回は壁に発生するカビについてお話していきました。
カビは放っておくとアレルギーなどの健康被害にも繋がっていきます。
ご予算や状況にあった物で、しっかりと対策を練っていきたいものですね!
少しでもご参考になれば幸いです。

お読みいただきありがとうございました。

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ユメノヒ編集部・WRITER

設計デザイナー

芝 十和 TOWA SHIBA

料理・外食・一人旅行・サイクリング

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