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戸建ての耐震リフォーム・リノベーションで行う「耐震補強工事」とは?

リノベーションコラム「戸建ての耐震リフォーム・リノベーションで行う「耐震補強工事」とは?」

こんにちは、リノベーションプランナーの佐藤です。
今回は主に戸建てのリフォーム・リノベーションの際にご相談頂く「耐震補強工事」についてご紹介させて頂きたいと思います。

「木造戸建住宅」において、耐震補強工事とはどのような工事をするのか、といった導入のイメージが掴めますように、ご紹介したいと思います。

中古の戸建てをリフォーム・リノベーションして住みたい!というご相談をよく頂きますが、その際、夢工房では必ず「耐震補強工事」についてお伺いしております。

リフォーム・リノベーションをする際に耐震補強を行うメリットとして、内装や間取り変更に伴い、壁を壊す際に、現在の耐震計画がどのようになっているか、確認出来るという点がございます。

もちろん、耐震補強工事が必要なく、内装や設備の交換工事のみも可能でございます。
しかし、住宅性能の向上が注目されております昨今、これから長く生活する家に、安心して住みたいですよね。
せっかく内装を綺麗にしても、あとから耐震補強を行うと再び工事をすることになり、コストも二重にかかります。
さらに住みながらの工事ですと、日々の生活に支障が出るかもしれません。
リフォーム・リノベーションをするタイミングは、耐震補強をはじめとした住宅性能を見直す良いタイミングなのです。

そもそも「耐震」とは?

戸建ての耐震リフォーム・リノベーションで行う「耐震補強工事」とは?写真1

そもそも「耐震」とはどのようなことを指すのでしょうか。
似たような言葉に「免震」、「制震」などがありますね。
地震大国の日本、みなさま一度は聞いたことはあるかと思います。

まずは「免震」ですが、こちらは地震などの“振動”を“免れる”と書きますね。
免震構造の建物は、主に建物と地盤の間に「アイソレータ」や「ダンパー」といった免震装置を設けることで、地盤の揺れを直接建物に与えません。

次に「制震」は“制振”とも記されます。
建物の内部に地震の揺れを制御する装置・仕組みを設けることで、“振動”を“制御する”構造になります。高層ビルでも用いられることが多く、最近では東京スカイツリーが有名ですね。

最後に今回ご紹介する「耐震」ですが、こちらも字のごとく、地震などの“振動”に“耐える”ことを指します。
後ほご紹介する「筋交い」や「耐力壁」などを用いて、構造を強くし、地震による倒壊を防ぐ手法です。
日本では多くの建物で、地震対策として採用されています。

「新耐震基準」「旧耐震基準」とは?

よく売り出し中の物件等に「新耐震基準(新耐震)」・「旧耐震基準(旧耐震)」などと表記されていることがあるかと思います。
耐震基準は建築基準法にて定められており、一般に1981年(昭和56年)6月1日に改正された建築基準法施行令に則った基準が「新耐震基準(新耐震)」、それ以前の耐震基準に則ったものが「旧耐震基準(旧耐震)」と言われております。

新耐震では、1978年に発生した宮城県沖地震の被害をもとに、構造計算の見直しが行われた他、耐えうる想定地震の震度を6以上として基準を定めました。

耐震基準?耐震等級?耐震診断?

耐震に関する基準について、もうひとつよく用いられる言葉に「耐震等級」というものがあります。
これは建築基準法とは別に、「品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)」によって定められている「住宅性能表示」の一つになります。

「耐震等級」は3段階に別れており、

【耐震等級3】
極めて稀に(数百年に一度程度)発生する地震による力の1.5倍の力に対して倒壊・崩壊しない程度
【耐震等級2】
極めて稀に(数百年に一度程度)発生する地震による力の1.25倍の力に対して倒壊・崩壊しない程度
【耐震等級1】
極めて稀に(数百年に一度程度)発生する地震による力に対して倒壊・崩壊しない程度
⇒建築基準法の耐震基準と同等になります

といった3段階に別れています。
どの等級を基準に耐震性能を設定するかは、個々の住宅に依りますが、耐震等級1であれば、建築基準法の耐震基準と同等の性能であると言えます(ただし、耐震等級における性能の計算方法は建築基準法と異なります)。

また、耐震基準においては、その建物が新耐震基準を満たしている証明となる「耐震基準適合証明書」というものがあります。
これは、指定機関等により耐震診断を実施することで、建物の上部構造という評価点数(評点)が算出され、4段階にて判定されます。

評点が1.0以上であれば、新耐震基準に適合しているとされ、耐震適合証明が発行できます。
逆に言えば、1.0未満の場合(=新耐震基準を満たしていない場合)は、耐震補強工事が必要になるということになりますね。

耐震診断の4段階評価

耐震診断の4段階評価は以下の通りとなっています。

 ・1.5以上     : 倒壊しない
 ・1.0以上~1.5未満: 一応倒壊しない
 ・0.7以上~1.0未満: 倒壊する可能性が有る
 ・0.7未満     : 倒壊する可能性が高い

夢工房における耐震補強工事では、内部の間取り変更や内装変えにあわせて、上記の「耐震診断」の評点が1.0未満である住宅を、1.0以上(=新耐震基準を満たす)にするための補強工事を行う、といったご相談をよく頂きます。

耐震補強工事は何を行うの?

さて、では実際のリフォームで耐震補強が必要になった場合、どのような工事を行うのでしょうか。
補強計画や既存の住宅の状態によって施工方法も異なってきますが、主な補強の内容をご紹介したいと思います。

①「基礎」の補強

まずは建物が乗っている基礎の部分です。例えば基礎のコンクリートにヒビが入っている場合、すなわち健全な状態でない場合は、耐震診断における計算に影響を及ぼすため、健全な状態にすべく、補修を行います。

戸建ての耐震リフォーム・リノベーションで行う「耐震補強工事」とは?写真2

基礎補強のしている様子 カーボンフィルムによる補強をしています

②「壁」の補強

木造住宅の壁を剥がしてみると、地面に水平・垂直な柱や梁とは別に、「筋交い」と呼ばれる斜めの部材を見つけることが出来ます。
この斜めの部材を設置することによって、柱や梁からなる“四角形”の構造が崩れにくくなります。
またこの筋交いを2本を×印のように入れることでより強力になります。筋交いを固定を金物によって補強することも出来ます。
この筋交いの他に、「構造用合板」という壁材を使用することで、「耐力壁」と呼ばれる揺れに強い壁を配置していくことで、耐震性能を向上させることが出来ます。
しかし、やみくもに耐力壁を増やせばよいのではなく、建物全体にバランスよく配置する必要があります。

戸建ての耐震リフォーム・リノベーションで行う「耐震補強工事」とは?写真3

戸建ての耐震リフォーム・リノベーションで行う「耐震補強工事」とは?写真4

“構造用合板”による補強

戸建ての耐震リフォーム・リノベーションで行う「耐震補強工事」とは?写真5

戸建ての耐震リフォーム・リノベーションで行う「耐震補強工事」とは?写真6

戸建ての耐震リフォーム・リノベーションで行う「耐震補強工事」とは?写真7

“金物”による補強

③土台の交換・修復

基礎の上、建物を支える部材として土台があります。古い住宅の場合、この土台となる木材に腐食やシロアリによる劣化が発生している場合がございます。
その場合は、土台の修復や、シロアリ駆除・防蟻処理などを行います。

戸建ての耐震リフォーム・リノベーションで行う「耐震補強工事」とは?写真8

在来浴室撤去後、浴室部の土台となる木材が朽ちていることを確認

まとめ。耐震リフォーム・リノベーションで安心・安全に暮らせるお家を!

以上、耐震補強工事についてご紹介させて頂きました。こちらで紹介した以外にも、耐震に関する決まりや、補強工事内容がありますので、冒頭にも記しました通り、あくまで一例として参考頂けましたら幸いです。

最後になりましたが、耐震リフォームを行う上で、重要となってくる資料が、既存住宅の各種図面となります。
図面がない場合、現状どこに筋交いが入っていたり、どのような耐震計画になっているか判断が困難になるため、ご検討の際はお手元にご用意ください。

地震の多い日本では、常に震災のリスクと隣り合わせです。
思入れのあるお住まいで、少しでも長く、安全に、安心して生活出来るよう、夢工房では積極的に耐震補強をご提案させて頂いております。
難しい用語や、壁の内側といった普段目につかない箇所のことのことも扱いますので、ぜひ一度、夢工房までご相談ください。

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ユメノヒ編集部・WRITER

不動産コンシェルジュ/リノベーションプランナー

佐藤 昂太 KOTA SATO

サッカー観戦、テニス、フットサル、街歩き

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